アングル:韓国製品ボイコット、中国人労働者に跳ね返り

アングル:韓国製品ボイコット、中国人労働者に跳ね返り
 4月11日、米軍の新型迎撃ミサイルTHAADの韓国配備に反発し、中国が韓国製品のボイコットなどの対応を採ったため、韓国企業に打撃が及んでいる。ただ、その影響は中国の労働者や納入企業にも跳ね返っている。写真は韓国の現代自動車の工場。北京で7日撮影(2017年 ロイター/Muyu Xu)
[北京/上海 11日 ロイター] - 米軍の新型迎撃ミサイルTHAAD(サード)の韓国配備に反発し、中国が韓国製品のボイコットなどの対応を採ったため、現代自動車<005380.KS>やロッテグループといった韓国企業に打撃が及んでいる。ただ、その影響は中国の労働者や納入企業にも跳ね返っている。
韓国企業は中国で大勢の労働者を雇っている。韓国の貿易振興機関によると、現代自動車、サムスン電子<005930.KS>、ロッテなどの企業が直接生み出している雇用は70万人程度に達し、サプライチェーンを含めるとさらに増える。
現代自動車の説明によると、同社は関連会社と納入企業だけで9万人の雇用を生み出している。同社は販売減に対応して生産を縮小した。
現代が海外最大の製造拠点を置く北京郊外の順義区では、納入企業や労働者、その労働者を顧客とする小売店の販売などに悪影響が広がっている。
納入企業の従業員は「1カ月前から週末は働いておらず、いつになれば通常営業に戻るのか分からない」と嘆く。
従業員らによると、現代自動車の北京工場は通常なら週7日、24時間稼働し続けるが、現在は週に4日、午前8時から午後5時までに限られている。
中国で100人以上を雇う韓国自動車部品メーカーの最高経営責任者(CEO)は、工場稼働率が30%落ち込んだと明かし、「この状況が長引けば中国の労働者を減らすしか選択肢は無い」と語った。
現代自動車自体は「今のところ中国での雇用に影響はない」とし、「この地域の従業員を守るため最善を尽くし続ける」と表明した。
<巻き添え被害>
THAAD配備を巡る対立を背景に、中国メディアは韓国製品のボイコットを呼びかけ、中国当局は韓国企業への監視を強めた。
ロッテはTHAADの配備が予定される土地の提供に合意したため、ボイコットに遭っている。当局による検査を受け、ここ数週間で中国にある大型スーパー99店舗のうち75店舗を営業停止とした。
ロイターが取材したロッテの従業員5人は、今でも給料は支払われており、休業中の店舗に出勤して賞味期限や在庫のチェックを行っていると話した。
企業リスク・アナリストによると、中国は「巻き添え被害」をある程度まで容認する覚悟だ。また、従業員数がとりわけ多いサムスン電子のような大手企業を標的から外すなど、戦略的に対処している。
コンサルタント企業コントロール・リスクスの中国・北アジア分析ディレクター、アンドルー・ギルホルム氏は、「中国政府は、韓国で新政権が誕生し、(THAADについての)姿勢を明確にするまで圧力をかけ続けるだろう」と話した。
(Muyu Xu記者 Adam Jourdan記者)

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