焦点:日米経済対話、対立回避を模索  北朝鮮情勢にらむ

焦点:日米経済対話、対立回避を模索  北朝鮮情勢にらむ
 4月14日、日米両政府は東京で開催される経済対話で、自由貿易促進のためのルール作りなど今後の検討課題を中心に協議する方針だ。写真は2月フロリダ州で行われた、安倍首相とトランプ米大統領の会談後の記者会見前に会談するペンス米副大統領(左)と麻生太郎副総理(右)(2017年 ロイター/Joshua Roberts)
[東京 14日 ロイター] - 日米両政府は18日に東京で開催される経済対話で、自由貿易促進のためのルール作りなど今後の検討課題を中心に協議する方針だ。米国は貿易不均衡の是正を掲げ日本との自由貿易協定(FTA)交渉も視野に入れるが、朝鮮半島での緊張の高まりを受け、両国は対立の表面化を避けたい考え。日米で環太平洋連携協定(TPP)への姿勢も異なる中、貿易面での今後の議論をどう方向づけるかが焦点となりそうだ。
<麻生・ペンス両氏の共同会見を予定>
麻生太郎副総理とペンス米副大統領との間で行われる日米経済対話は、マクロ経済政策をはじめ、インフラやエネルギー分野、貿易・投資ルールを柱に幅広い分野を扱う。初会合には両国の事務方が同席する一方、他の閣僚は参加しない見通し。
日米両政府は初会合の成果として、今後の検討課題などを明記した文書を公表し、会合後に麻生・ペンス両氏による共同会見を行う方向だ 
これまでトランプ米大統領が中国や日本を念頭に貿易不均衡の是正を訴えてきたことから、日本政府内には、経済対話の場で米国から強硬姿勢が示される可能性を警戒する声がある。
ただ、北朝鮮情勢が緊迫する中で「日米間の対立を表面化させるのは得策ではない。貿易での踏み込んだ議論が日米間に亀裂を生めば、安全保障環境への悪影響は避けられない」との指摘もある。
<安保重視のシナリオと米の本音>
米中首脳会談後の今月11日。トランプ大統領はツイッターで「中国が北朝鮮問題を解決するなら、米国との通商協定ははるかに良いものになると習近平国家主席に伝えた」と明かし、北朝鮮対応への協力と引き換えに通商面で譲歩する姿勢を示した。
また、12日の米ウォール・ストリート・ジャーナルとのインタビューでは「北朝鮮問題への対応を巡る中国との協議を損ないかねない」として、中国を為替操作国に認定しないと明言。これまでの方針を180度転換させた。
こうしたトランプ氏の変化から「米国にとっての優先課題は、もはや通商問題ではなく安全保障だ」(政府関係者)と読み解く向きもある。
複数の関係筋によると、前週後半に米国から日本に届いた、経済対話に向けた基本的な考え方では、米国の関心事のひとつに貿易が含まれていたという。
貿易について両国が協議するのは既定路線だが、TPPを巡る方針の違いや北朝鮮という「変数」(別の政府関係者)が絡む中、投資・貿易ルール作りに向けた協議には不透明感も漂う。

梅川崇 編集:田巻一彦

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