日米経済対話、3本柱で推進 副大統領はFTAの可能性に言及

日米経済対話、3本柱で推進 副大統領はFTAの可能性に言及
 4月18日、第1回日米経済対話が、ペンス副大統領(写真左)と麻生太郎副総理(右)との間で行われた。終了後に発表した共同文書では、貿易・投資ルールなど3つの柱で具体的な議論を進展させていくことで一致。今年末までの次回会合の開催でも合意した。官邸で18日撮影(2017年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)
[東京 18日 ロイター] - 第1回日米経済対話が18日、来日中のペンス副大統領と麻生太郎副総理兼財務相との間で行われた。終了後に両国政府が発表した共同文書では、貿易・投資ルールなど3つの柱で具体的な議論を進展させていくことで一致。今年末までの次回会合の開催でも合意した。
ただ、ペンス副大統領は日本との自由貿易協定(FTA)を目指す可能性に言及。2国間協定の交渉に難色を示す日本側との温度差も見えた。
同対話の終了後、共同会見に臨んだ麻生、ペンス両氏は、この対話が日米双方にとって利益となる「ウイン・ウイン」構造に基づいている点をともに強調した。
特に麻生副総理は、かつての日米交渉の起点が「経済摩擦」であったのに対し、今回は相互利益をもたらす経済関係を深める観点から、ペンス副大統領とじっくり議論できたと指摘。日米関係の「新たな1ページを開けた」と意義を強調した。
そのうえで日米間で貿易・投資における高い基準づくりで合意すれば、これをアジアに広げていくことができるとし、今回の対話における枠組み合意の重要性を指摘した。
これに対し、ペンス副大統領も日米経済関係にとって「新たな日であり、新たなチャプター(章)である」と評価。この対話は、2国間のアプローチを通じて対日関係を強化しようというトランプ大統領のコミットメントが基底としてあるとの見解を示した。
さらに日米両国は、ともに成長を促進する金融・財政政策を運営することが可能であると述べた。
しかし、自由貿易協定(FTA)を日米間で締結する意思はあるのかとの質問に対し「トランプ大統領は2国間ベースで通商協定を交渉するのが、米国の利益にかなうと認識している」と表明。続けて「将来のある時点で、日本とのFTAを目指す可能性がある」と述べた。
麻生副総理は、FTAに関する質問には直接、コメントしなかった。
この日公表された合意文書では、1)貿易および投資のルール・課題に関する共通戦略、2)経済および構造政策分野での協力、3)分野別協力──の柱で経済対話を構成すると明記。麻生、ペンス両氏は近いうちに具体的な成果をもたらすことで一致したと盛り込んだ。
経済政策分野では、相互補完的な財政、金融、構造政策の「3本の矢」の積極的活用も強調されている。
一方、安倍首相は同日、ロス米商務長官と個別に会談。日米間における通商問題について意見交換したとみられる。
ロス商務長官は同日午前、世耕弘成経産相とも会談。終了後、2国間のFTAについて記者団から質問され、今後どのような形をとるかを話すのはやや時期尚早だが「日本との貿易関係を強化したいと考えているし、協定の形でそうなることを望んでいる」と述べ、FTA締結への意向をにじませた。
世耕経産相は、この問題に関する質問に対し「経済対話で話されることであり、対話の結果を待ちたい」と答えるにとどめた。会談の中では「FTAという言葉は出ていない」(経産省幹部)という。

梅川崇 竹本能文 宮崎亜巳 編集:田巻一彦

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