トルコ投票、国際監視団は基準満たさずと指摘

トルコ投票、国際監視団は基準満たさずと指摘
 4月17日、トルコで実施された大統領権限の強化を目指す憲法改正の是非を問う国民投票について、欧州安保協力機構などで構成する国際投票監視団は、投票は欧州評議会の基準を満たしていなかったとの見解を示した。写真は投票結果を受け支持者に向けて演説するエルドアン大統領。(2017年 ロイター/Umit Bektas)
[アンカラ/イスタンブール 17日 ロイター] - トルコで実施された大統領権限の強化を目指す憲法改正の是非を問う国民投票について、欧州安保協力機構(OSCE)などで構成する国際投票監視団は17日、投票は不公平な状況下で行われ、欧州評議会の基準は満たしていなかったとの見解を示した。
エルドアン大統領は前日、国民投票は賛成多数となったと「勝利宣言」。この日は欧州の投票監視団の見解は西側諸国の「十字軍的な精神」に基づいていると批判し、欧州連合(EU)加盟に向けた協議が破談になったとしてもとトルコにとり重要ではないと述べた。
投票監視団は、国民投票に向けたキャンペーンでは「肯定」支持が大半を占め、ジャーナリストの逮捕やメディア機関の閉鎖などにより「肯定」以外の見解を表明する機会が奪われたと指摘。「全般的に今回の国民投票は欧州評議会の基準を満たさなかった。(トルコの)法的枠組みは本当の意味での民主的なプロセスには不適切である」とした。
監視団は実際に不正があったとの情報は入手していないが、選挙管理当局がぎりぎりになってスタンプが押されていない投票用紙を数えることを許可したのは選挙法に矛盾するなどとしている。
米国務省は欧州の監視団の懸念を認識しているとし、トルコ政府に対しすべての国民の権利を守るよう呼びかけた。また向こう12日以内に発表される公式な投票結果を待ちたいとの見解も示した。
トルコ外務省は監視団の見解を客観性を欠くものとして一蹴している。
今回の国民投票ではトルコ3大都市のほか、クルド系住民が多い南東部で否定された可能性が高いなど、国内の深い分断が浮き彫りになった。イスタンブールでは「大統領制にノーを」などのスローガンを掲げ少なくとも3地区で数千人が参加する抗議行動が行われている。

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