北朝鮮が軍記念日に大規模砲撃演習、米原潜は釜山入港

[ソウル 25日 ロイター] - ミサイル・核開発プログラムを巡り国際的な孤立を強める北朝鮮は25日、朝鮮人民軍の創建85年の記念日を迎えるのにあわせ、大規模な砲撃演習を行った。
韓国の聯合ニュースが韓国政府筋の話として伝えたところでは、北朝鮮の軍が同国東岸の元山市近郊で大規模な実弾演習を行ったもよう。韓国国防省はこの報道を確認していない。
北朝鮮の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は1面の社説で、朝鮮人民軍は「米国の策略と核の脅しの歴史に終止符を打つ」用意があると表明。「人民軍には、様々な精密・小型核兵器、潜水艦発射弾道ミサイルなど、独自の最新鋭軍装備があり、攻撃力に限界はない」と指摘した。
一方、米海軍の原子力潜水艦ミシガンは25日、韓国・釜山港に入港した。
4月は北朝鮮で記念日が続くうえ、米韓軍が大規模な合同演習を実施していることから、金正恩政権が挑発行動に出ることが懸念されている。とりわけ朝鮮人民軍創建85年に当たる25日は、6回目の核実験を踏み切る可能性が指摘されており、トランプ米大統領は、空母カール・ビンソンも合同訓練のため朝鮮半島近海に向かわせており、日韓との連帯を示すことで北朝鮮を強くけん制している。
トランプ大統領は24日、中国、ロシアを含む国連安保理15カ国の大使とホワイトハウスで会談。「北朝鮮の現状維持は許されない」との立場を示し、「安保理は北朝鮮の核開発・弾道ミサイルプログラムに対し、より強力な追加制裁を発動する用意を整えておく必要がある」と述べた。
そのうえで、北朝鮮は世界に対する現実的な脅威であるとの認識を示し、「北朝鮮問題は何十年も放置されてきたが、解決しなければならない時期に来た」と語った。
26日にはティラーソン国務長官、マティス国防長官、コーツ国家情報長官、米軍のダンフォード統合参謀本部議長がホワイトハウスで、北朝鮮情勢について上院全体に説明する。100人の上院議員全員が今回のような目的でホワイトハウスを訪れ、しかも前述の高官4人が関与するというのは異例。
ホワイトハウスで説明を行うことで、米国が対北朝鮮政策の転換に真剣だというメッセージを強調する狙いがあるようだと議会側近は語る。
<日米韓は中国の役割拡大で一致>
また、日米韓の政府高官は25日、北朝鮮問題を巡る6者協議の代表者会合を都内で開いた。北朝鮮軍の創建記念日を迎え、新たな挑発行為が懸念される中、3者は北朝鮮に強く自制を促すことで一致。中国の役割拡大を求めることでも認識を共有した。
26日には日本と中国の代表者が会い、北朝鮮への石油の禁輸措置などを協議する見通しだ。
会合には日本の外務省の金杉憲治アジア大洋州局長、米国務省のジョセフ・ユン北朝鮮担当特別代表、韓国外務省のキム・ホンギュン朝鮮半島平和交渉本部長が出席した。金杉局長は会談後、記者団に対し、「北朝鮮がさらなる挑発行為を取る危険がある。日米韓が連携し、強力に自制を促していくことで一致した」と語った。
韓国のキム朝鮮半島平和交渉本部長は記者団に、「私たちは北朝鮮にさらなる挑発をやめるよう強く警告する。それでも北朝鮮がこれを続けた場合、耐え難い懲罰的措置を通じ、北朝鮮への圧力を最大化することにした」と述べた。
会合の焦点の1つとなったのは、北朝鮮の貿易の9割を占める中国の役割。中国は2月に北朝鮮からの石炭輸入を停止したが、日本の外務省の金杉局長は「より大きな、具体的な役割を求めることで(日米韓で)一致した」と語った。25日に来日した中国の武大偉・朝鮮半島問題特別代表と26日に会談し、日米韓の考えを伝える方針。金杉局長は「石油は1つのツール。武大偉大使と会うときにこの点も取り上げたい」と語った。
日米韓の代表者は、会合の終盤に北朝鮮による大規模な砲撃演習についての情報を知らされた。金杉局長は「規模の大小にかかわらず、北朝鮮が挑発行動を取ることは、われわれにとって受け入れられないということで日米韓で一致している」と述べた。
また、NZのリゾート地クイーンズタウンでは、米国、英国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド(NZ)の情報機関が25日会合を開く、と同国のイングリッシュ首相が明らかにした。
「ファイブ・アイズ」と呼ばれる情報ネットワークを構成する5カ国の会合について、イングリッシュ首相は24日に開催自体は認めたものの、議題や出席者について明らかにしていない。
NZ情報機関の元職員であるマッセー大学の安全保障・防衛アナリスト、リース・ボール氏によると、ロシア政府の活動や北朝鮮を巡る核問題が議題になりそうだという。
*情報を更新しました。

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