トランプ氏、軍事行動は北朝鮮に「悲しむべき事態」招く 

[ワシントン 7日 ロイター] - トランプ米大統領は7日、北朝鮮の核開発問題に対応するにあたり軍事行動は回避したいと述べた。ただこれまでの外交努力は北朝鮮側の責任で失敗に終わったとの見解も示した。
トランプ大統領は記者会見で「軍事行動は当然選択肢の1つとなる」と指摘。ただ「不可避でないものはない」とし、「軍事的な路線は辿りたくない。米国が北朝鮮に対し軍事力を行使した場合、北朝鮮にとり非常に悲しむべき事態となる」と述べた。
そのうえで、北朝鮮の行いは悪く、是正が必要との考えを示しながらも、米国が北朝鮮に対し軍事力を行使せずに済むことを願っていると述べた。
米政権当局者は同日、米国は北朝鮮を抑止できない可能性について非常に憂慮していると述べた。
同当局者は匿名を条件に記者団に対し、北朝鮮が同国の行動に対する米国の反応を「誤算する」かもしれないという重大なリスクがあるとも指摘。自国と同盟国を守ろうとする米国の意志を「過小評価」すべきではないと北朝鮮に警告した。
トランプ政権は、国連が北朝鮮への経済制裁を強め、同国が行動を変えて交渉を始めるように圧力をかけるべきだと訴えている。ロイターが6日入手した米国の新たな制裁案によれば、米国は石油禁輸のほか、北朝鮮の繊維輸出や同国の労働者雇い入れの禁止、金正恩氏の資産凍結と渡航差し止めなどを求めている。
<中国は追加制裁に同意>
トランプ大統領が北朝鮮に対して警鐘を鳴らす一方で、中国の王毅外相は同日、北朝鮮に対し国連安保理が追加措置を取ることに同意すると明らかにした。その上で、朝鮮半島の問題解決に向け対話の拡大を進めることも主張した。
王外相は、北朝鮮がこれ以上国際合意に反する行動を取らないよう望むと発言。「朝鮮半島における動向を考慮し、中国は国連安保理が追加措置を取り必要な方策を実施すべきだとの意見に賛同する」と述べた。追加措置の内容については言及しなかった。
さらに「北朝鮮に対する国際社会からの新しい行動は、同国の核やミサイル計画の抑制につながると同時に、対話と協議再開に貢献するものでなくてはならない」と話した。王外相は記者団に対し、制裁は北朝鮮問題の解決策の半分でしかなく、対話や交渉も合わせて行うべきだとの考えも示した。
一方、ロシアのプーチン大統領は同日、北朝鮮は核やミサイル計画を安全保障の唯一の手段とみなしており、中止することはないだろうとの見解を示した。
ウラジオストクでの経済フォーラムで同大統領は、「北朝鮮を怖がらせることは不可能だ」と指摘。北朝鮮は武器凍結の見返りとして制裁の終了をほのめかされているが、同国の立場から見れば、安全保障リスクの方が制裁終了によるメリットより重大だとした。
「北朝鮮には、われわれは経済制裁は課さない、だから暮らし向きは良くなり、おいしい料理が食卓に並び、もっと良い服を着ることができるようになると話している。ただ北朝鮮は、次の段階(である、核計画の中止)は墓場への招待状と考えており、これに決して同意しないだろう」とプーチン大統領は述べた。
<北朝鮮は反発>
北朝鮮は7日、ミサイル開発計画などを巡って制裁圧力を強めている米国に「強力な対抗措置」を取るとする声明を公表し、米政府が戦争を求めていると非難した。
ウラジオストクでのフォーラムに出席している北朝鮮代表団が公表した声明では、「米国による制裁や圧力を巡る野蛮な企みに対し、強力な対抗措置で応じる」と主張。また韓国や日本についても、今回の経済フォーラムを利用して「汚い政治」を展開していると非難した。同フォーラムは地域の経済協力を協議するためのもので、北朝鮮のミサイル計画を批判する場ではないと訴えた。
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