アングル:新興国通貨の取引量急拡大、ボラティリティ上昇で

アングル:新興国通貨の取引量急拡大、ボラティリティ上昇で
 7月19日、外国為替取引業界の各種データに基づくと、新興国通貨の取引量が今年に入って2桁の伸びを記録している。写真はトルコリラ紙幣。2014年撮影(2018年 ロイター/Murad Sezer)
[ロンドン 19日 ロイター] - 外国為替取引業界の各種データに基づくと、新興国通貨の取引量が今年に入って2桁の伸びを記録している。経済や政治動向を巡る懸念が全般的にボラティリティを高め、人民元やトルコリラ、メキシコペソなどの売りが活発化したためだ。
1日5兆ドルの取引規模がある外為市場では、先進国で構成される「G10」通貨の売買がなお大きな割合を占めるとはいえ、特にスポット市場においては新興国通貨の取引シェアが拡大しつつある。
こうした状況は、近年ドル、ユーロ、円といった主要通貨が方向性を欠き、取引が低調にとどまっているため、外為で利益を増やすことに苦労している銀行にとっては朗報と言える。
世界最大級の電子取引プラットフォームを運営するNEXグループによると、今年のスポット市場の1日平均出来高に占める新興国通貨の比率は17%で、2015年の7%から上昇した。ノン・デリバラブル・フォワード(NDF)を含めると、今年の新興国通貨の比率は27%にまで高まる。
NEXマーケッツのFXグローバル責任者ティム・カートレッジ氏は「アジアではNDFに力強い伸びが見られ、オフショア人民元は取引が爆発的に増えた」と述べ、電子取引の増加と主な新興国におけるボラティリティの上昇が理由だとの見方を示した。
NEXの集計では、4─6月に新興国通貨の取引量は34.6%増えた半面、G10通貨は3%弱しか増加していない。
外為の主要決済機関の1つであるCLSが、スポットの非G10通貨について年初来で取り扱った1日平均の量は470億ドル相当と、全通貨の9.5%。12年の非G10通貨の取扱量は369億ドルだった。対照的にスポットのG10通貨の取扱量は12年の4808億ドルが4486億ドルに減少した。
地域を見ると、ロンドンが依然として外為取引においては圧倒的な地位にあり、オフショア人民元の取引シェアも相当大きい。ただグローバル企業がアジア事業を拡大しているため、香港とシンガポールの取引量が増えつつある。
国際決済銀行(BIS)の最新データで判明している2016年時点では、人民元がメキシコペソを抜いて最も活発に取引された新興国通貨になった。
NEXのカートレッジ氏は、人民元取引は昨年50%増加し、今やドル/元取引は通貨ペアの取引量で第3位だと指摘した。

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