長崎・新潟の地銀統合、手続き進まず 当事者が未報告=公取委

長崎・新潟の地銀統合、手続き進まず 当事者が未報告=公取委
 12月6日、公正取引委員会の山田昭典事務総長は、長崎や新潟の地方銀行の統合審査について、公取委が最終的な結論を出すために必要な報告を当事者の地銀が行なっていないため、手続きが止まっていることを明らかにした。2009年8月撮影(2017年 ロイター/Stringer)
[東京 6日 ロイター] - 公正取引委員会の山田昭典事務総長は6日の定例会見で、長期化している長崎や新潟の地方銀行の統合審査について、公取委が最終的な結論を出すために必要な報告を当事者の地銀が行なっていないため、手続きが止まっていることを明らかにした。
ふくおかフィナンシャルグループ<8354.T>と十八銀行<8396.T>、第四銀行<8324.T>と北越銀行<8325.T>の統合を巡る審査は、統合すれば県内の貸出シェアが大きくなり、競争環境が維持できないなどとして第1次審査では承認が得られず、第2次審査に移っている。
山田事務総長によると、まだ当事行と公取委が問題解消措置のあり方などについてコミュニケーションを続けている段階で、公取委に必要な資料を報告してこないのは「当事会社側の判断だ」という。
当事行が審査に必要な資料を提出すれば、公取委は90日以内に承認するか、独占禁止法に基づく排除措置命令を出すための手続きに入る。
長崎や新潟の地銀の統合審査の行方に対する関心が高まっていることを受け、公取委は同日、企業結合審査の考え方をまとめた文書を公表。山田事務総長が会見で説明した。
文書では、利用者がどの範囲の企業からサービスを受けているのか、地域を画定したうえで、合併で新たに生まれる企業が競争を実質的に制限するか判断するという基準を示した。こうした公取委の基準は欧米当局と同じで、日本が特有ではないとした。 また、金融庁が行政方針で「単純な金利競争による貸出規模の拡大により収益を確保することは現実的ではない」などと指摘したことを引用し、「地方銀行は、事業活動を行なう地域が本店が所在する県などに限定されているわけではなく、実際に県域を越えて事業活動を行なっている地方銀行や他県の地方銀行との連携や統合を行なう地方銀行は多数存在する」と言及。「地方銀行の競争手段は多様」だと指摘した。
山田事務総長は会見で、地銀のビジネスのあり方に言及したことについて「統合を頭から否定するものではない。ただ、統合によって利用者に大きな不利益を生じさせるようであれば、他の手段も考慮してほしい」と述べた。

和田崇彦

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